unlovable
自作小説。主にショートストーリーを書いています。
夜のプール

小6の夏休み。
何か楽しいことを探しては、仲間と遊んでばかりいた。

別に僕らは不良じゃない。喧嘩が好きなわけじゃない。
ただ僕らなりに楽しいことを探した結果、それが規則から外れていることはもちろんある。

--

夜のプール。隣の地区にある、新校舎になったばかりの中学校。もちろんプールも新しい。
プールの周りには金網が張りめぐらされている。でも、新しくても金網には必ず穴が開いているものだ。
皆そこから入り込む。でも僕はいつも金網をよじ登って中に入る。

夜のプールを泳ぐ。もちろん水着なんか持ってきていない。
皆、フルチンだ。泳ぐと波の合間から、白いケツがポコンと浮かび上がる。
それは滑稽で、とても無邪気な映像だ。

僕は月明かりの中、プールの波が揺らめいているのをぼんやりと眺める。
昼と夜。同じものなのに、昼に見るそれとは全く様子が違う。
僕も昼と夜とじゃ、周りから違って見えているのだろうか。

--

「夜のプールに、友達を連れてきていいか」ある日、仲間の一人から聞かれた。
「別にいいけど」と、僕は答えた。

仲間は「ありがとう」と、言って友達に連絡を入れた。
そして仲間が連れてきた友達とは、驚いたことに隣のクラスの学級委員だった。
かるいショックを受けたが、仲間の偏差値が高いことを思い出し、そういう繋がりなんだなと勝手に納得した。

その夜、少し居心地が悪そうに学級委員が仲間に加わった。
学級委員もフルチンで泳いだ。白いケツがポコンと浮かび上がる。
学級委員だろうが、それは変わらない。でも彼が白いのはケツだけじゃなく、全身真っ白だ。

「仲間に入れてくれて、ありがとう」帰り際、学級委員が言った。
「昼間より楽しいだろ」学級委員とは、裏門を出たところで別れた。

結局、学級委員が夜のプールに来たのは、それが最初で最後だった
まじめな奴の、ちょっとした思い出作りだったのかも知れない。

--

夜のプール。月の光を浴びながら、黒光りした波を見ている。
僕の体が、水に溶けていく錯覚。夏休みも、もうすぐ終わる。


Written day:2006/08/14

この記事に対するコメント
偶然ジャンル検索してたら、
この小説に辿り着きました。
本物の小学生が書いたようで、
「こんな小説があるんだ!」と感銘を受けました。
【2006/08/15 22:53】 URL | 催煌 4壱。 #- [ 編集]

催煌 4壱。さんへ、コメントどうもありがとうございます。

> 本物の小学生が書いたようで、

この作品に対して、これ以上のコメントは恐らくないと思います。
「小説を書いていて良かった」と思える瞬間を与えてくれたことに、とても感謝しています。
また次の作品を書く意欲が沸いてきました。本当にありがとうございます。

【2006/08/22 14:02】 URL | 真田エイチ #mQop/nM. [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバックURL
→http://unlovable.blog67.fc2.com/tb.php/94-33246447