unlovable
自作小説。主にショートストーリーを書いています。
コペルニクス

失ってから始めて気付く大切なものってあるよね。

何かの事情でご飯が食べられないときがあって。
それは忙しかったり、夜遅くて何も食べるものがなかったり。
そんなとき、置きっ放しにしてあったカップヌードルなんかを見つけたときは、すごくラッキーだよね。
そしていつもと変わらない味のはずなのに、ものすごく美味しかったりするんだ。
ちょっと大げさだけど、三食きちんと食事が出来ることに感謝するんじゃないかな。

ある人は仕事に対して不満を持っていた。
残業が多いが残業代は僅か、給料もずっと上がっていない。
でもあるとき、仕事をリストラされた。次の仕事を探してもなかなか見つからない。
家に帰ると家族から「仕事は見つかったの?」と聞かれる。
「いや、まだ」と返事をする。そして、ため息が帰ってくる毎日。

何ヵ月後かに、やっと新しい仕事が見つかった。
そしたらどんな仕事でも頑張ろうと思うんじゃないかな。
仕事が出来る喜びに感謝するんじゃないかな。
満員電車にさえ懐かしさを覚えるんじゃないかな。

ある日、足を骨折した。大好きなサッカーの練習をしていたときに。
何ヵ月後かに完治して歩いたり、走ったり、そしてボールを蹴ることが出来たら、
普段思ったことのない神様にも、お礼を言ったりするんじゃないかな。
空がとてもきれいに見えるんじゃないかな。

ひきこもりをしている人がいた。
ある日、気付いた。ひきこもりが出来る部屋や家があることに。
ひきこもりが出来る自由がある、ということに。

人はいつも誰かに愛されて生きている。家族や友人、恋人。そして自然、地球、宇宙。
でも人はそんな幸せにすぐに慣れてしまう。

そう、僕は慣れてしまっていた。
あの日、どうして僕は自殺なんかしてしまったんだろう。
取り返しのつかないものを僕は失ってしまった。


Written day:2007/08/24

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