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蝿はジャングルを静かに飛ぶ |
「もし部屋の中に蝿が入ってきて、煩く飛び回っていたらどうする」
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バイト終わりに彼女と待ち合わせをした。場所は彼女のアパートがある最寄り駅。 駅前のコンビニによって、ソフトクリームを買う。ここのはホントにおいしい。 その他、スナック、ドリンクを買って彼女のアパートへ向かう。
「そうだな、俺なら窓を開けて外に出ていってもらうよう促すけど」 「へー、優しいんだね。でも、それでも出て行かなかったら」
さっき、バイト先のレンタルビデオ店から持ってきた映画を観終わったところだ。
「それでも、出て行かなかったらか。雑誌か何かで叩いて死んでもらうかな」 「あっ、そうなんだ。別に優しいわけでもないんだね」
観た映画のせいか、蝿の話題になっている。
「仕方ないよな。機会は与えたんだから」 「でも、それは人間の身勝手だとは思わないの」
「思わない、な」 「どうして」
彼女の声のトーンが変わった。 適当な答えは許さない。そんなトーンに。
「例えば俺がどこかのジャングルにいたとして、ライオンに襲われたとする」 「うん」
「俺は無力で、ライオンにされるがまま殺されると思うんだ」 「でも、それは餌を取るためなんだから、しょうがないんじゃない。自然だよ」
「例えそれが空腹を満たす為の行為じゃなく、子ライオンの餌取りの練習台に使われたとしても、 俺にはどうしようもない。だからって、ライオンが悪いとも思わないし、ライオン次第の話だと思う」 「ふーん。じゃ、何が悪いの」
「彼らのテリトリーに入った、俺が悪い」 「そうなの。じゃ、もしあなたが気に入らなければ、わたしは殺されるわけ?」
「極論そうなるよな。でもその前に、出て行ってくれないか、とは言うよ」 「それって、全然優しくないよね」
俺は座ってたベッドから下りて、デッキの前まで行った。巻き戻ったビデオテープを取り出し、 レンタルビデオ店のケースにそれをしまった。別に後からでも良かったんだけど。
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